「決算書を見ろ」と言われても、どこを見ればいいのか分からない。
数字ばかりで、なんとなく眺めて終わってしまう――。
実は、そう感じる人は少なくありません。
でも、決算書の“見るポイント”を押さえれば、会社の現状と課題がくっきり見えるようになります。
この記事では、初心者でも理解できるように、**「決算書はどこを見るべきか」**を経営の視点から解説します。
そもそも決算書とは
決算書とは、会社の1年間(または会計期間)の活動を数字で表した「会社の通信簿」です。
企業の利益・資産・負債・現金の流れをまとめたもので、主に次の3つで構成されます。
- 損益計算書(P/L):1年間でいくら儲かったか
- 貸借対照表(B/S):会社がどれだけの資産を持ち、どれだけ借金しているか
- キャッシュフロー計算書(C/F):お金の流れを表す
つまり、決算書を読めるようになるとは、「儲かっているのか?」「潰れない会社か?」「今後伸びるか?」を判断できるようになる、ということです。
決算書でまず見るべきは「損益計算書」
最初にチェックすべきは、会社の“収益力”を示す損益計算書(P/L)です。
ここでは「売上」「利益」「コスト」の関係を理解することが大切です。
売上高と営業利益
売上が伸びていても、利益が減っている場合は“コストが増えている”サイン。
営業利益率(営業利益 ÷ 売上高)を見ると、会社の稼ぐ効率が分かります。
- 営業利益率が10%以上:高収益企業
- 5%前後:平均的
- 3%未満:改善の余地あり
この指標は「どれだけ効率よく稼げているか」を判断する最も基本的な数字です。
経常利益と当期純利益
経常利益は、本業+金融収支を含めた“経営全体の成績”。
当期純利益は、最終的に会社に残った“純粋な儲け”です。
経常利益が黒字でも当期純利益が赤字なら、税金や特別損失の影響を受けている可能性があります。
「なぜ差が出ているのか?」を考えるクセをつけましょう。
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次に見るのは「貸借対照表」
損益計算書が「今期の成績表」だとすれば、貸借対照表(B/S)は「体力測定表」です。
会社の健康状態を見るには、ここを避けて通れません。
自己資本比率
貸借対照表の最重要項目が自己資本比率(自己資本 ÷ 総資本)。
これは“借金に頼らずどれだけ自力で経営しているか”を示す指標です。
- 50%以上:安定的な企業体質
- 30%前後:ややリスクあり
- 20%以下:借入依存度が高い
自己資本比率が低い会社は、利益を出しても返済で資金が減る傾向にあります。
「黒字倒産」を防ぐためにも、財務体質のチェックは欠かせません。
流動比率
短期的な支払い能力を表すのが流動比率(流動資産 ÷ 流動負債)です。
目安は120%以上。100%を下回ると、資金ショートの危険信号。
この比率が低い場合、手元資金や売掛金の回収スピードを見直す必要があります。
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最後に見るのは「キャッシュフロー計算書
利益が出ていても、現金が足りなければ倒産する。
それを防ぐために必ずチェックすべきが、キャッシュフロー計算書(C/F)です。
営業活動によるキャッシュフロー
会社の本業で稼いだ現金の流れを示します。ここがマイナスなら、利益が出ていても資金繰りが苦しい状態です。
プラスが続いているかどうかを、3年単位で見るのがおすすめ。
営業CFが安定してプラスであれば、経営は健全と言えます。
投資・財務キャッシュフロー
- 投資CF:設備投資・新規事業などに使ったお金
- 財務CF:借入・返済・配当などの資金の出入り
投資CFがマイナスでも、未来への投資なら問題ありません。
逆に財務CFのマイナスが大きい場合、借入金返済で現金が減っている可能性があります。
決算書の「どこを見るか」は目的で変わる
「どこを見るべきか」は、誰が何を知りたいかで変わります。
| 立場 | 見るべきポイント | 理由 |
| 経営者 | 営業利益率・自己資本比率 | 会社の稼ぐ力と体力を判断 |
| 管理職 | 売上・販管費・営業利益 | 部署の生産性・コスト管理 |
| 銀行担当 | 流動比率・借入金・営業CF | 返済能力・資金繰りリスク |
| 投資家 | 売上推移・ROE・営業CF | 成長性と投資リターンを評価 |
つまり、「決算書のどこを見るか」を目的に合わせて絞り込むことが大切です。
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初心者がやりがちな“NGな見方”
- 数字を単体で見てしまう
→ 比較しないと意味がありません。同業他社・過去3年分と比べてこそ見える。 - 売上ばかり気にする
→ 売上が増えても利益率が悪化していれば危険信号。営業利益率をセットで見る。 - 利益だけ見て安心する
→ キャッシュが減っていれば実質赤字。C/Fの確認を忘れずに。
ここを見ればOK!決算書チェックリスト
| 見る項目 | 理由 | 理想値の目安 |
| 売上高 | 成長性の確認 | 前年比+5%以上 |
| 営業利益率 | 稼ぐ力 | 5〜10% |
| 自己資本比率 | 安定性 | 40%以上 |
| 流動比率 | 支払能力 | 120%以上 |
| 営業CF | 現金創出力 | プラス維持 |
| 投資CF | 将来性 | マイナスでもOK(成長投資なら) |
この6つを押さえれば、決算書の読み方はほぼマスターです。
まとめ:決算書は“見る力”で差がつく
決算書を読む目的は、数字を見ることではなく、「数字の裏にある経営のストーリーを知ること」です。
- なぜ利益が減ったのか?
- なぜキャッシュが増えているのか?
- どんな投資が成果を出したのか?
決算書は答えを出すものではなく、「問いを立てる道具」。そこに気づいた瞬間、経営はもっと面白くなります。
決算書のどこを見るかを知っていれば、数字が経営の武器になります。
まずは下記3ステップから始めましょう。
- 損益計算書で利益を見る
- 貸借対照表で体力を見る
- キャッシュフローで現金の流れを見る
数字が分かる人は、意思決定が早く、正確になります。
企業成長戦略支援センターでは、全国各地で戦略MGマネジメントゲーム研修を開催しています。
戦略MGはボードゲームを使って決算書が理解できるゲームです。
初心者から経営者層まで幅広く参加でき、毎回多くの方が「数字に強くなった」「経営が見えるようになった」と好評です。
